雪洞訓練 早池峰山

「雪山で事故に遭わない、遭わせない」


盛岡山友会はそんな想いで仲間との関係を築いています。大切な仲間に辛い思いをさせたくない。大切な仲間の家族に悲しんで欲しくない。


開催しました雪洞訓練。冬山訓練です。

雪洞訓練という総称の訓練ですが、講習内容は雪洞だけに止まらず多岐に亘りました。
多岐に亘った講習でスキルアップしてきました。

画像を交えながら抜粋して紹介します。
全てをご紹介できず歯痒いです。




積雪をスライスしたものです。太陽の光に透かしています。

良く見ると層になっていることが判ると思います。
白っぽい層は「雪崩のきっかけになりにくい層」。透けている層は「雪崩のきっかけになりやすい層」です。
雪崩のきっかけになりやすい層が目視で判断できます。

この積雪は上から40cmほどのところに白と透明の境界があります。ここがずれて表層雪崩が発生します。
シャベルコンプレッションテスト(雪を叩いて雪崩易さを測る)を行なってみました。
結果、この境界の強度は「不安定」でした。雪崩が起きる可能性があります。
是非ともご安全に。



ビーコン訓練です。ピンポイント捜索中です。
ビーコンでの埋没者捜索は「だいたいこの辺に埋まっている」とエリアを確定する面の捜索から、「この場所のここ1点に埋まっている」という点の捜索に遷移します。
点の捜索を「ピンポイント捜索」と呼びます。

焦ります。訓練なのに焦ります。人が埋まっているかと考えただけで焦ります。
落ち着いてピンポイント捜索できるようになります。




一日目が終了しました。お楽しみの夕食です。宴会です。これが楽しみなんです。




スノーマウント(かまくら)作成中

スノーマウント内で記念撮影

一人乗っても大丈夫
(スノーマウントが判別しづらいので赤い線で輪郭を強調しています)

最近はビバークするときはスノーマウントをお勧めしてます。
横穴や縦穴はビバークしているときに埋まってしまう危険がありますので。




滑落停止訓練です。このように転倒して滑ってしまったら、


こうやってうつぶせで停止します。両手にピッケルを持ち、ピッケルのピック(ヘッドの両側に付いた刃のうち細く尖った方の刃)を雪に突き刺して停止します。
全員全身雪まみれでした。




埋没者を掘り出した(つもりの)後に、埋没者を移動しているところです。
コンパニオンレスキュー訓練です。
コンパニオンレスキューとは、「自分達」で行なうレスキューのことです。
「自分達」とは、自らのパーティーに加え、居合わせた他チームも含まれます。





コンパニオンレスキュー総仕上げ訓練です。
雪崩発生 1人埋没→周囲の人間全員で救助をしよう→以降リーダーの指示で、捜索・掘り出し発見・気道確保・全身堀り出し・安全地帯へ搬送、という訓練です。途中で雪崩が再発生するオプション付でした。
画像はピンポイント捜索中です。
気道確保まで11分経過。搬送終了で15分を要しました。

埋没時間15分で助かる確率は概ね90%程度と言われています。(諸説ありますが)
訓練の成果が出たようですね。講師陣の指導に感謝です。




フォーマルプロービングと呼ばれる捜索法です。
埋没者がビーコンを所持していない場合の捜索法です。横一列に並んだ捜索者が、プロービングしては一歩進むを繰り返して捜索します。
埋没者がビーコンを持っていないので、こうやって人をかき集めてプローブで絨毯爆撃のように突いていくしかありません。
訓練なのでシャベルを埋めて探しました。15m四方を1往復半してやっとこさヒットしました。15分以上経過していました。
実際の災害の場合、50m四方を探すなんてザラです。
参加者全員の思いは1つでした。
「これで見つけるのは至難だ。ビーコンなら早く発見出来るのに。そうだ必ずビーコンを携行しよう」


参加者の満足度は最高だったと考えています。非常に有意義な講習でした。
来年にも期待します。



雪崩が発生しやすい時期に突入しました。
安全な登山を心掛けます。
来年以降も雪山に登りたいですしね。